島津父とアキラ母の違い

投稿者: | 2024年3月22日

「二月の勝者」にはさまざまなタイプの保護者が登場しますが、その中でもダントツで問題ありな保護者と言えば

島津父
アキラ母
今川母
原母

ではないでしょうか。

「問題ありな保護者」トップレベルはだんぜん島津父。

なにせ順を最難関・開成に合格させることに執着し、順への暴力や妻へのDVも厭わずのもはや凶悪レベルな教育虐待親父。
勉強は苦行という考えを我が子に押し付け教育虐待を引き起こすだけでなく順と親しくなった上杉君をけなすなど人間関係に口を挟み、あまつさえ黒木先生の言葉にはご意見無用とばかりに暴走し、遂に妻と順に逃げられ離婚カウントダウン状態になります。
それでも開成合格に執着するのはきっと、自分のコンプレックスを我が子に肩代わりさせようとするタイプなのかもね。
もしくは自身も難関大学出身ではあるものの、苦行の末の合格だったためそれを当然のように受け止め順に押し付けているのかもしれません。
(別の機会に書きますが、このタイプの人間が身近にいましたので心当たりがあります)
いずれにせよ教育虐待の根底にあるのはエゴなのは見て取れます。
もはや「二月の勝者」において殿堂入りレベルの毒親と言えるでしょう。

次いでアキラ母。
こちらは島津父の女版ともいうべきなかなか凶悪な母として本作に登場します。
一見するとVERY妻、しかしその実体は有名校に通う息子を理想とし、そのためなら教育虐待もお構いなしな毒母。
我が子・アキラが通うフェニックスでも噂の教育虐待ぶりで成績が落ちる度に痣が残るほどつねるという虐待を重ねていました。
合格後はタワマンに引っ越し、我が子は有名校の生徒・・・アキラ母の理想はセレブ妻・・・島津父と同じくエゴによる教育虐待だったことが伺えます。
その我が子は有名校であっという間に深海魚になった挙句に退学勧告を受け、我が子の心配よりも自分のステータスを優先するアキラ母はアキラの心を抉る暴言を吐きます。
遂にキレたアキラは家庭内暴力を引き起こし家庭崩壊。
アキラは、祖母宅に引き取られ両親と絶縁。

・・・以上が「二月の勝者」に登場する教育虐待親です。

この二人の虐待親には「家庭崩壊」という共通点の他に「難関校(有名校)への執着=コンプレックスの肩代わり」という共通点があるように思えます。
島津父もアキラ母も本編では過去が明かされていませんが、勉強は苦行という固定概念を持っている点やステータスに執着する点は何らかのコンプレックスを抱えていることが伺えます。
島津父も最初から教育虐待親父ではありませんでした。
入院生活が長かった順の見舞いに通い、順の利発さを心から喜んでいた場面がありましたので、当初は順への愛情が深かったのでしょう。
しかし、順の賢さがトリガーとなったのかはたまた順の賢さが自身のコンプレックスを払拭できると思ったのか難関校に執着する教育虐待親父へとシフトチェンジしたのではないでしょうか。
例えるなら誰もが認めるほどルックスのいい我が子を芸能界で売り出そうと躍起になる母親と同じ心理状態なのかなと想像してしまいました。

さて・・・

こうして共通点を挙げましたが、アキラ母と島津父には決定的な違いがあります。

それはアキラ母が後に改心したことです。

涙ながらに懺悔し自分の愚かさを悔やみますが、アキラには拒絶されたまま・・・。
長い間、アキラは両親、特に母を強く拒絶していましたが、最終回が近づくにつれアキラから母に歩み寄ろうとしている場面がありましたので、その後の展開が気になりますね。
一方島津父は改心の気配なし・・・。未だに妻と順が意地を張って帰ってこないと思い込んでいるあたりもはやつける薬なしといったところでしょうか。

次回は「今川母と原母の違い」です。

結論:

教育虐待の根底にあるのはエゴ。

【参考リンク】

  1. 「島津父」はなぜ嫌われるのか
  2. 大ヒット漫画『二月の勝者』に出てくる「中学受験に向かない親」

アキラのエピソードはこちらの巻に収録されています。

島津家崩壊のエピソードはこちらの巻に収録されています。

2024_03_27追記

最新の連載で島津父の過去が明かされ、ちょっとした進展があります。
ネタばれ防止のため、くわしくは書きませんが21巻に収録されると思いますで暫くお待ちください。