中学受験をしたご家庭の多くが併願をされたことでしょう。
特に難関校・上位校を志望校にしているご家庭ほど慎重に併願プランを計画されたことと思います。
あれだけ入念に併願プランを計画したにもかかわらず中には全落ちというあってはならない結果に終わったご家庭があるのも確かで、そのショックは計り知れないものでしょう。
全落ちの原因はさまざまで、察するにあまりあります。
しかしながら・・・
併願プランを誤ったとしか言いようがない原因が多いのも確かです。
第一志望校や併願校が有名校や高偏差値校ばかりという小学校受験でもありがちな原因もありますが、特に多いのが「あんな中途半端な学校を受験するなんて」という親の先入観ね。
この「あんな中途半端な学校を受験するなんて」という考え方こそが全落ちを引き起こす原因ではないかと私は考えます。
こうした親が言うところの「中途半端な学校」とは
偏差値が微妙
知名度やブランド力が微妙
といったところでしょう。逆にこうした親が考える「いい学校」とは
偏差値が60以上
知名度抜群。学校名を言うだけでどよめきが起こるほど。
進学実績が東大・京大・阪大・名大・神大など名だたる有名校
なんでしょうね。
「中学受験は親が9割」の著書で有名な西村則康先生は本書の中で親の先入観ほど学校選びの妨げになると書いています。
親の時代の難関校と今の時代の難関校は全然違うと断言されているように、親の時代とは比べ物にならないほど偏差値が上がっていることが多いですし、親の時代に評判が悪かった学校も現在は難関校という学校が京阪神にはいくつもあります。
本書の中で地方出身者の親について触れていますが、地方出身者の親ほど中学受験に疎い上に灘や東大寺などの有名校しか知らないという方が多く、知名度がそれほど高くない学校を軽視しがちです。
ハッキリ言っちゃいますが、有名校に通う子どもを持つ親になりたいだけですよね?
受験するのはお子さんなら学校に通うのもお子さんです。
お子さんに有意義な中高生活を送ってほしいと願うのなら有名校・ブランド校への執着は捨てるべきではないでしょうか。
有名校・ブランド校に合格できたからと言って大学進学や将来を保証しているわけではありません。
京阪神には知名度がなく偏差値も40台だけど、面倒見がよく学習サポートも万全、進学実績も申し分なしという学校が数多くあります。
親にとっての「いい学校」が子どもにとって「いい学校」とは限りません。
親が言うところの「中途半端な学校」ほど子どもにとって「いい学校」だったということは十分にあり得ます。
「あんな中途半端な学校を受験するなんて」という先入観を持つ親ほど見落としている点があることにお気づきでしょうか?
それは、中途半端とされる学校の多くは偏差値が40台ですが、偏差値40台ということは確実に基礎学力があるということです。
ということは基礎学力があるという前提で授業が進むということですから「公立中学にも劣る」なんてありえないですよね?
だって公立中には基礎がまともにできない子どもが紛れ込んでますから。基礎学力がある子どもたちばかりの環境で学校生活を送るほうが遥かに有意義だと思いますけどね。
最後に・・・
「二月の勝者」にも前述のように子どもの実力を顧みず有名校に執着する母親が登場します。
桜花ゼミナールRクラス(下位クラス)の今川理衣沙ちゃんは母親に言われるままに難関女子校(吉祥寺女子)を志望校にしますが、持ち偏差値は到底足りず合格の可能性は遠く及ばず。
母親からのプレッシャーや焦燥感から同じRクラスに山本佳苗ちゃんに意地悪をするという問題行動を引き起こします。
攻撃の矛先を佳苗ちゃんに向けたのは、それまで一緒に塾の帰りに寄り道していつもつるんでいたのに鈴蘭女子のオープンスクール以降、受験への本気を見せ始めたから。
佳苗ちゃんに対しての嫉妬が攻撃の理由でした。
理衣沙ちゃんは母親の期待に応えようと吉祥寺女子の過去問を解き高得点を出しますが、実は書店に売られている過去問の解答を必死で暗記していただけ。
思うような結果が出せず今にもプレッシャーに押しつぶされそうな理衣沙ちゃんは、佐倉先生の勧めで母親とカサブランカ女子のオープンキャンパスに行きます。
カサブランカ女子の環境や在校生の優しさに心を動かされた理衣沙ちゃんでしたが、中途半端な学校とハナから相手にしない母親。
母親が吉祥寺女子に執着する理由はママ友からの執拗なマウントを見返すためと、結局はエゴなんですよね。
残念ながら理衣沙ちゃんの母親のようなママさん、現実にいます。それもびっくりするほど多いです。
親にとっての「いい学校」思考は志望校選びの邪魔でしかないということです。
- 全落ちの原因の多くは併願プランの誤り
- 親の先入観は志望校選びには邪魔なだけ
- 親の言う「いい学校」とは他人に自慢できる学校でしかない。
- 偏差値40台ということは確実に基礎学力があるということ。
今川理衣沙ちゃんの意地悪エピソードはこの巻に収録されています。
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今川理衣沙ちゃん親子のカサブランカ女子エピソードはこの巻に収録されています。
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「中学受験とは?」その答えはすべてこの本に書かれています。
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【参考リンク】
- 大ヒット漫画『二月の勝者』に出てくる「中学受験に向かない親」
教育ジャーナリストで有名なおおたとしまささんの公式ブログです。
リンク先のエントリーに今川母と島津父について書かれていますが、どちらも親のエゴが先走っているので中学受験に向かないのでしょうね。 - 中学受験全落ちしたらどうなる?
- 中学受験で全落ちは子供にとって不幸